<年金基金136兆円の資産運用リスクを考える>
あなたは、年金基金運用資金の総額が136兆円で国内外の債権と株式投資で運用されていること、そして、未曾有の低金利政策の長期化により、国債等の安全資産からリスクのある株式運用へ資金がシフトしていることを知っていましたか?
財務省によると2016年末の法人企業統計調査によると利益蓄財した内部留保金の合計が406兆円を超過したことが公表されていますが、2017年は力強い米国経済に牽引される形で順調な回復基調にあり、更なる内部留保の積み上げが推察されることからも適正な税率見直し等の議論を呼ぶものと考えられます。
長引くデフレ経済を脱却すべく、前例なき低金利政策による歪みは年金基金運用にも大きな影響を及ぼしていますが、従来の安全性優位の債権運用では年金基金運用がもはや維持不能となり、ハイリスクハイリターンの株式運用資金を増加させています。 一部の資本主義経済圏では同様の傾向が見受けられますが、資本主義経済に孕む自己矛盾のため、資本主義経済の崩壊的末路が危惧されています。
米朝戦争を回避できるなら、国内経済は来年秋頃までは順調な推移が期待できますが、直近の5年間を振り返ると 、2015年の原油価格に端を発した産油国間の思惑や宗教的対立を背景とした地政学的リスクや国内財政事情のため中東産油国、サウジアラビアがロンドン、ニューヨーク、東京に分散投資運用していた資産を一斉に換金した衝撃で国債、為替、株価の市場バランスが崩れ、特に東京株式市場の暴落インパクトはその後の市場推移に大きな影響を及ぼしました。
株価は、投機的運用の影響で時に乱高下するリスクが付き纏います。 国際的アングラマネーを運用するグローバルな投機集団が運用する巨大な資金規模は絶大であり、高度な金融工学的評価指標すら嘲笑するほどの圧倒的資金力に振り回されるリスクを考えた場合、年金基金の運用に対する法的規制の必要性を主張する健全な思考は理解できます。
ただ、現実問題として債権から株式にシフトせざるを得ない背景因子の状況を理解する必要があります。 今日の年金基金運用内訳に代わる代替案など存在しない状況であることがその理由です。 低利の金融政策を継続している我が国において、債権にシフトした安全運用では従来の年金支給率が維持できないこと、運用リスクにたじろぎ運用資金を縮小するとその分、年金受給者への支払い額が少なくなりますので運用資金規模を議論する余地はありません。
本来なら、こんなに苦労する必要もなかったのに長年、社保庁に蓄積された莫大な資金が湯水の如く無駄使いされ、その責任追及すらいい加減に終始した顛末の負の資産が現在の年金基金に引き継がれている重大な問題を反省し、主権者たる自覚のもとに責任ある行動を厭わない覚悟が必要なのです。
其れには、当サイト投稿欄で事あるごとに指摘している抜本的世直しが急務であり、国政を俯瞰するジャーナリスト、報道メディア組織の再構築が不可避であることを認識する必要があります。
この問題に限らず、先人たちが残した負の遺産は沢山あります。 その本質的原因に対する分析と対策に致命的欠陥があり、同様の問題を何度となく繰り返してきた事を謙虚に反省し、問題解決のアプローチを国民的議論のもとに再検証することです。
何故、ジャーナリスト、メディアは衰退したのか、何故、有能な政治家がいなくなったのか、何故、高度経済成長を牽引してきた有能な官僚たちがいなくなったのか、何故、有能な識者は何も言わなくなったのか、…メディアが率先してこれらの問題を国民に提起する使命を実践することから衰退国家の復興が始まるのです。
成人した時の社会人として自覚すべき責務とは何か、責務を履行することの意義を再認識する契機となるだけでも本投稿の意義があり、あなたの友人たちにも共有されることは投稿者としてこの上ない喜びでもあります。
森加計問題、官僚虚偽証言問題、薬物強姦事件、公金横領事件に共通して官邸が関与していることを忘れてはなりません。 そして、2つの事件に対するメディアの姿勢に違和感があること等々、これらの問題を有耶無耶にしてはもとの黙阿弥です。
幸いにも当面は、年金基金の株式シフトのリスク問題がクローズアップされることはないと思われますが、いずれかの時期に国民的議論が避けられない事態にならないよう祈るばかりです。