column(期間限定投稿)



< メディア報道への失望と忖度政治を容認する風土 >

  〜  形骸化した民主国家が溶解する一年を総括する  〜

 

 ここ一月余りの相撲報道に対するメディア批判すら聞こえないことに一瞬、焦りに似た憂鬱を禁じ得ない。
 長いデフレ期間が社会を変質してしまったせいなのか、政界のみならず報道メディア界にも本物のアンカーマンが存在しなくなった気がしてならないのだ。
 忖度政治を演出した官邸と親交がある元記者の犯罪は、薬物を利用したスタッフ志願の女性に対する準強姦罪である。
 この卑劣な事件を元官房長官秘書官であった警察官僚が警視庁刑事部長の職権で所轄警察がホテルの監視カメラ映像、タクシー運転手の証言等の客観的証拠を根拠に裁判所から逮捕状が交付され成田空港に向かっていた刑事に逮捕取消しを指示した事件の異常さを元警察官僚数名(内一人の元警察庁長官も絶対にあり得ないと明言)に取材したことを前提に報道番組で指摘した江田健司旧民進党議員には総選挙直前の絶好の暴露機会を逸した理由と、その後の沈黙が意味する謎解きをジャーナリストに期待していたが何らの情報提供もないどころかこの事件の全貌を報道したのは日テレだけとのことで情けない限りである。
 この事件の直前に元記者は退職しているが、トランプ氏とフロリダでのゴルフ外交した総理から送付された携帯メールを当日のTV番組で自慢していたことを鮮明に記憶していたのは、総理との親交に対する相当のインパクトがあったからである。
総理には、忖度政治の演出に自身の妻が関与していた実体が露呈しても責任を取ることもなく、総理としての品位の欠片さえも持ち合わせていない人格を思慮するなら元内閣に勤務していた警察官僚への工作依頼すら何らの抵抗なく推察される所以である。
 当時の限定された報道によると元記者が滞在しているホテル宿泊費は月130万円とのことであったが先日、関連省庁からの助成金、補助金の詐欺容疑で逮捕された齊藤元章との接点があり、斎藤は元記者に対して相当額の経済的支援をしていたとの記事を見るにつれ、接点に総理の関与がチラつくことである。 詐欺容疑で逮捕された時の初期報道では、被害額は助成金の限度額5億円のうち4億9,900万円とのことであったが、数日後の追加報道では100億円を超過しているとのことである。
 異常なのは、この報道がほとんど流れていないことである。 視聴率を優先したマスメディアの相撲報道の過熱ぶりよりもこの事件の重大さが適性に報道されていないという事実の深刻さに報道メディアへのバイアスの存在を惹起させられることである。
この問題には複数の異常事態が輻輳していて事件の深刻さを理解している識者の協力なしには隠蔽されてしまうことが危惧されるが、被害女性は今後、民事訴訟において事実関係が公開されることの波及効果に賭けていると思慮する次第である。
 元記者の犯罪を黙殺した問題、公金詐欺事件を誘発した問題に最高権力者の関与疑惑を徹底解明する社会的使命をメディア関係各位に問い質したいのが主権者の総意である。
 報道関係各位の奮起に期待するしかないが、事件の本質を解明し、主権者に報道の存在意義を誇示されたい。

 末筆ながら、今回の東京地検特捜の詐欺事件逮捕には敬意を表したい。